空中都市マチュピチュへ、インカの道をトレッキングしてきたよ④

空中都市マチュピチュへのインカの道トレッキングの記録、最終日4日目です。1日目はこちらから。

4日目:マチュピチュ入りとマチュピチュ山

インカトレイル最終日は、まだ未明の早朝に起きて、マチュピチュまでの5.5キロメートルをダッシュ!という計画。

ガイド「朝3時前、とにかく起きた瞬間に動き始める。テントの中にマットも寝袋も残したままでよいので、ザックだけ持って出よ!朝食もお弁当だ。」

やまびと「3時前というのは具体的に何時か!?」

ガイド「起きた瞬間だ!」

という会話を昨夜何度かやり取りして、ようやく3時に準備ができていればよいことを白状してくれました。

ガイドにとってみれば、3時といえば出発が遅れると思うんだろうけど、やまびとは日本人。

時間には厳しいし、マットも寝袋も自分で持参したのでたたむのに時間がかかるから、放っておけばよい皆より半時間ほど早く起きなきゃならんのです。

就寝前には晴れていたけど、夜中にけっこうな大ぶりの雨になって目が覚める。テントの床に破れがあったので、念のためザックをレインカバーの中に。

2時半に起きた時はまだ小降りだった雨も、出発の3時ごろにはカラリと上がっていました。空は星空。

出発して向かうのは、入域コントロール。テント場からほんの数分で、なんと5時半までここで列をなして待つことになります。

われわれが到着した時はすでに待っている人たちがいて、後着のグループがみるみる長蛇の列を作って、コントロールの前は人であふれていきます。

ガイドは「われわれは先頭から3グループ目、よくやった」とご満悦のようす。

熱帯地帯で寒くはないけれど、湿度が高い。

やまびとは、まだ読み残しのあるインカトレイル必携のKindle本「Turn Right at Machu Picchu:Rediscovering the Lost City One Step at a Time」を読みながら待ちました。

他のメンバーは寝ていて静か。


Turn Right at Machu Picchu: Rediscovering the Lost City One Step at a Time

5時半にコントロールが開くと、皆列をなして一斉に歩き始めました。ほぼ小走りの無言の競争。

空が明るくなり始めていますが、立ち止まって写真を撮るひまも与えてくれません。

太陽の門まで急ぎ足のトレッカー

やがて空は明るくなり、1時間ほどで太陽の門に到着。6時半。

太陽はまだ山の向こうに隠れていますが、すっかり朝になりました。

石造りの構造が左手に現れて、そこをくぐると、マチュピチュが姿を現しました。

太陽の門から望む初めてのマチュピチュ

おおー!マチュピチュだー!!ついに来ました。地球の裏側からやってきました!

ぱしゃぱしゃ写真を撮って、やまびとも撮ってもらって、みんなと一緒に記念撮影したり、喜びを分かち合いました。

・・・・が。

ガイドはこの眺望の前に座り込んで、タイムラプスの映像を撮って動こうとしません。

他のみんなも座り込んでただ眺めているだけ。半時間たっても動こうとしません。

後続のトレッカーはみな続々と降っていきます。

やまびとは耐えかねて、マチュピチュに行かないのか聞きますが、ラッシュしてマチュピチュに走ることがあたかも愚かなアイデアであるように鼻をならします。(じゃあ3時に出発したのはいったい?)

マチュピチュ見学の時間がなくなってしまうばかりではありません。

やまびとはマチュピチュ山に登る予定で、入域許可証も得ているのです。

マチュピチュ山は往復で3〜4時間。

他のメンバーは1名を残して入域許可証がなく、その彼女も登らないことにしたと。

(もともと彼女は往復時間が2〜3時間のワイナピチュ山を登る計画をしていたのだけど、閉山となってしまいマチュピチュ山になってしまったのです)

つまり、やまびと一人マチュピチュ山の頂上を往復する予定で、ここでのろのろしているひまはないのです!

マチュピチュ山を登った後にマチュピチュ遺跡の見学時間が十分とれるのか、と何度もオペレーターには確認しておいたのに!

そういうわけで、私一人、ガイドNo.2と一緒に先行して行くことになりました。

マチュピチュ村での待ち合わせ場所だけ教えてもらって、入山とバス、マチュピチュ遺跡のチケットを持って超高速で下ります。

マチュピチュまでのトレイルで、時折姿を表すマチュピチュは次第に大きくなっていきます。

マチュピチュだ!

もう一人のガイドはさすがペルー人。私の下りの速度にもついて来てくれました。

インカトレイルはマチュピチュ遺跡にそのまま入ってしまうので、一度入り口から出て再度入場する形になります。

外に出た時が唯一のトイレのチャンス。出場は一回だけ認められています。(マチュピチュ入り口前の有料トイレはとてもキレイでした。)

一緒にきてくれたガイドの英語はなかなか聞き取りづらいのだけど、1対1なので聞き返すことができました。彼はなかなかのコミュニケーター。

いわく、

マチュピチュとは「古い山」という意味。

もっとも、マチュピチュを発見したハイラム・ビンガムというアメリカ人の探検家がつけた名前で、もともとは何と呼ばれていたのかは誰も知りません。

南側は段々畑になっていて、パパイヤやコカ、キニュア、ポテト、アボガドなどが栽培されていたとのこと。

しかし600人を超えたと思われている住人をまかなうには十分ではなく、昨日通った段々畑の遺跡で収穫されたものがここに運ばれていたのだとか。

太陽の神殿は宗教施設で、寺院は三層になっていて、大岩が現世を、その下は切り抜かれていて前世を表す。そこに高貴な人のものだと思われる骨が見つかっているそう。

上部は後世で、冬至と夏至に光がさすようになっています。窓は二つあって、その年の占いが行われていたのだとか。

マチュピチュ遺跡の中心である太陽の神殿から見て、陽の一番長くなる冬至に太陽が登るのが太陽の門(夏至はヤナンティン山から)。

ここから見るとDead Woman’s Pathがまさに女性が横たわった形に見えます。

山々がマチュピチュ全体を構成していて、この場所の神聖さが偲ばれました。

太陽の神殿とマチュピチュを囲む山々。神殿は石組みがとても精巧

遺跡の西側へ登ると岩切り場、ブロンズ製の道具や鉄を含んだ硬い石を使って加工し、巨大な岩は自然の切れ目に水を入れて石を膨脹させたり火を使ったりして割っていたのだそう。

これは面白い!

しかし、岩切り場のあたりでタイムアップ。

入山は9時から10時の間でのみ可能で、やむをえずガイドを切り上げました。ここで彼とはお別れです。

チップを渡して握手。アリガトウ!




マチュピチュ山への入り口はワイナピチュ山とは反対方向で、インカトレイルを太陽の門の方に向かって遡ります。

時間もギリギリだったので相当焦って走りました。やはり高山には違いなく、息も切れ切れギリギリセーフ。

登山道は、きつい石段がひたすら続きます。

折り返しごとに視界が開け、マチュピチュ遺跡の素晴らしい眺めがあります。

登るにつれ天気は急速に良くなっていき、結構な日照りに。

いつもは水をあまり飲まないやまびとですが、登りですでに持参の水を飲み干してしまいました。あとは遺跡を出るまで水を口にすることはできません。

頂上までは意外にあって、ようやく到着した頃には一山登り終えたような気分。

パノラマの素晴らしい眺望!これはすごい。登ってよかった涙。

しばらくの間この素晴らしい眺めにあっけをとられていましたが、やがて空が少し陰り始め、ちょうど雲の合間からマチュピチュ遺跡の上に太陽の遮光がおりてきました。

なんと神々しい。

太陽の遮光に浮かび上がるマチュピチュ遺跡

美しいけれど、マチュピチュ遺跡もまだ見学するところが残されています。

下りは超特急で駆け下りました。

登りが1時間20分で、下りが40分の合計2時間でした。

12時半にはマチュピチュ遺跡に戻って来て、ルートをたどって神殿に出ます。

インティワナという日時計や、石が精巧に組み立てられた神殿など、儀式と生活が織りなす領域。

ガイドの話によると、マチュピチュ遺跡で見つかった骨の106体のうち、88体は女性のものであり、若い美しい女性が神に捧げられていたという説があるといいます。

本当であれば、インカを尊敬できないやまびと。ま、確かなことはわかりません。

他にも、王の夏季、冬季の別荘であったという説や、インカの4つの地域(Ccollasuyo, Antisuyo, Chincheysuyo, Contisuyo)のうち1つの首都であったとする説、大学であったとする説もあるそう。

コンドール(聖鳥)が羽を広げた石のオブジェに見える岩の切り出しと、儀式の石があるコンドール神殿のあたりには、学校であったと思われる天体観測の石や王の居室であったとされる(水洗トイレがある!)部屋があります。

コンドールの岩のあたり。地震でくずれないのがすごい

だいたい一周したところで、雨が降り始めました。

名残おしかったけれど、水が飲みたかったこともあり、切り上げてマチュピチュ村(アグアス・カリエンテス)の村に向かうことに。

村へはハイラム・ビンガムの道をバスで降ります。マチュピチュ村は、駅の周りが商店街のようになっていて、おみやげ屋さんがにぎやかに集中していました。

マチュピチュ山登山でけっこう体力を消耗しまい、重たいザックを背負って買い物をする気にはなれず、セーターを一枚買って集合場所のレストランへ。

他のメンバーは街へ繰り出しているが、レストランでのんびりお食事をしていました。




帰路は列車で1時間ほど、そしてオリャンタイタンボからバスで3時間。クスコに帰り着いたのは夜8時ごろ。

ホテルに帰り着いたらシャワーを浴びて、そのままベッドにパタリ。

若いメンバーから夕食のさそいがあったけど・・・みんな若いな。

あとがき

インカトレイルに挑戦して本当に良かったと思います。

実際は挑戦、というほどのこともなく、難易度は決して高くありません。

マチュピチュは、インカの滅亡から400年も後に発見された秘められた奥地にあります。

伝説の都ビルカバンバを探し求めてたどり着いたという、ハイラム・ビンガムの冒険ストーリーを味わいながらマチュピチュにへと向かうのもオツではありませんか。

また、マチュピチュにたどり着くまでに、さまざまな遺跡を見学することができるのが素敵。

アンデスの風習やインカの営みに思いをはせて、驚きの光景が広がる山々の中をくぐり抜けることができます。

一つ不満があるとすれば、もう少しチャレンジであってもよかったなあ、ということでしょうか。

贅沢でのんびりとしたトレッキングで、登山の達成感はやや満たされない感も(といいながら最終日はこたえてましたが)。

次はサルカンタイを登ろうか。ナンテ

そんなわけで、インカトレイル、みなさんにもオススメします。

第一に、4日間の(豪華!)食事やテント、ガイドにマチュピチュ遺跡チケット代、電車・バス代など全て含んで600〜700米ドル。すごくリーゾナブル。

第二に、一人で列車に乗ってマチュピチュに行くより安全だし楽しい(そして美味しい)。

ぜひご検討してみてはいかがでしょうか。

よろしければ以下の記事もご参照ください〜。

マチュピチュへ行くならインカトレイルをトレッキングしよう

申し込みのしかた

現地ツアーに直接申し込む方法①
現地のツアー・オペレーターの選び方について

現地ツアーに直接申し込む方法②
やまびとの参加したリャマ・パス(Llyama Path)というオペレーターのレビュー

現地ツアーに直接申し込む方法③
 日程の問い合わせとツアーへの申し込み方

準備をしよう

旅程の組み方
インカトレイルをくみあわせた日程の組み方

準備をしよう
インカトレイルに持って行くトレッキング用品のそろえ方

4 Replies to “空中都市マチュピチュへ、インカの道をトレッキングしてきたよ④”

  1. […] 4日目につづく→天空の古代都市マチュピチュへ、インカの道をトレッキングしてきたよ④ […]

  2. […] 空中都市マチュピチュへ、インカの道をトレッキングしてきたよ④ […]

  3. ことり より:

    こんにちは。このブログのインカトレイルのレビュー興味深く拝見し、リャマパスでのインカトレイルに参加することを決めました。

    一つ教えていただきたいのですが、ツアーの厳しさと現地で購入された靴のことです。
    やまびとさんの記事では日本の中級に慣れていればとのことでしたが、富士山に登れるくらいの体力があれば大丈夫でしょうか?
    来月出発となり今更ながら体力作りが必要かな?と不安になってきました。。

    また靴もハイカットの重い靴である必要はなさそうですが、どのくらいの軽さの靴を選ばれたのでしょうか。
    教えていただけると助かります!

    • kanrinin より:

      こんにちは、コメントをありがとうございます!また、ご回答おくれてしまい、申し訳ありません!
      ツアーの厳しさ、ですが、富士山に登れるなら問題は全くないと思います。(私は富士山に登ったことはありませんが。)持病などなく体調管理できれば誰でも大丈夫な感じのトレイルです。ただ、高山病には気をつけて、クスコ入りを早めにして、体を数日高山にならすことは重要かと思います。ツアー中に出されるコカ茶は、体調を整えるのにとても有効です。(あと、シャワーが浴びれないので、ワイプ類はたくさん持って行きました。)
      靴は、Vibramのソールのなるべく軽量な登山靴が理想だと思います。石段は滑りやすく、Vibramでない人は結構苦戦していました。トレイルはよく整備されており、日本の山のように木の根や岩場など凹凸が激しい場所は全くなく、重たいハイカットのがっつりした登山靴はむしろ重荷になります。
      リャマパスでインカトレイル、本当に最高の経験でした(特に豪華なお食事笑)。
      ぜひ満喫されてください!また何かあればコメントくださいませ〜

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