天空の楽園アンコール・ワットへ③から続きです。
3日目、今日は最終日。昨夜行けなかった遺跡を周り、アンコール国立博物館に行く予定です。
3日目午前:雨に濡れたアンコールの僧院から
今日は朝から激しい雨。連日、トロピカルな青空と猛暑で始まる二日間だったので、やや拍子抜けしました。
チェックアウトして荷物をあずけて、9時に同じ車で出発!
雨に濡れた道を北上して、アンコール・トムを北門に抜けてプリア・カンへ。車から出ると、雨はもうほぼやんでいます。
プリア・カンは、ジャヤヴァルマン7世が、チャンパ軍に勝利したことを記念して創建した寺院で、大きな一つの村を構成していたそう。他には見られない2階建構造の建物など、見所がたくさんあります。
伽藍の美しさといったら、見飽きることを知りません。

プリア・カンのめずらしい二階建て構造
中央祠堂の前で、現地アーティストが絵を描いていました。前に並べている絵を見ると、どれも素敵。現地画家の絵は、他でもそれとなくチェックしていたのですが、どれも色がビビッドすぎたり味の合うものを見つけることができませんでした。しかし、彼の作品は、どれもしっくりくる美しさというか哀しさがあります。
ガイドさせてくれとしつこくせがむ男性が邪魔でじっくりと見れなかったのが残念ですが、一番気に入った絵を一枚購入しました。(写真は本ページの「さいごに」に掲載しています。)
次は、沼地の上を歩いてニャック・ポアンへ。ジャヤヴァルマン7世治世当時の、治水に関する信仰や技術が見られる寺院です。

ニャック・ポアンへと続くルート
空はすっかり晴天で、気温もぐんぐん上がっていきます。カンボジアは、天気の入れ替わりが激しいですね。蒸して、まるで水の中を歩いているように足が重たい。
ニャック・ポアンは、正方形の中央の池の四方に、また正方形の小池を持ち、対称的で美しい形状をしています。それぞれ、人やライオン、馬、象の頭部の形をした口から、小池に水を流し込む、という農耕文化の治水技術を表しているのが面白いですね。

池の真ん中に建つニャック・ポアンの中央祠堂
帰り道すぐのところにあるはずの遺跡クロル・コーは、どこにあるのかがわからず、ドライバーに道を聞いてもらう必要がありました。
ちっちゃい。ジャヤヴァルマン7世創建だけど、ヒンドゥー教の遺跡です。

クロル・コーはヒンドゥー教の小さな遺跡
タ・ソムはもともと僧院で、伽藍の周囲に僧が住まっていたそう。
東塔門は、すっかり木の根の間に入り込んでしまっています。門にわざわざ巣食っている感がスゴイ。このまま放置すると、遺跡も飲み込まれてしまうそうですが、こういう姿も味があって好きです。

タ・ソムの東塔門
再び車に戻り、次は東バライと呼ばれる巨大な貯水池(今は水はありません)の中心にある、東メボンへ。953年建立で、やや遡ります。
水につかっていた部分には、レンガには無数の穴があいているのが特徴的です。侵食したのかと思っていましたが、壁の漆喰をはがれにくくするためだとか。
東メボンのレンガは無数の穴が空いている大きな建造物で、巨大な象の像がたくさんありました。祠堂入り口のレリーフがとても綺麗なんですが、これは修復された後なんですよね?

東メボン祠堂入り口のレリーフ
プレ・ループに行く前に、ランチにしました。Ankor Flower Restaurantという遺跡近くの観光用レストランで、2階のふきぬけ。クーラーはかかっていないけれど、木陰で涼しくて、チャーハンが美味でした。
ドライバーが、すぐ横のハンモックで寝ています。今日は無口で疲れている模様。なにかとハンモックでお昼寝をしているカンボジア人をみかけます。

ピラミッド式寺院プレ・ループ
プレ・ループは、東メボンと同様ピラミッド式寺院で東メボンのすぐ後に建てられていますが、貯水池にはつかっておらず、さらに大きい。
3日目午後:ジャヤヴァルマン7世との再会
プレ・ループを散策した後は、アンコール国立博物館に向かいました。
重要な石像やレリーフはレプリカで、本物は博物館に収容されています。アンコール・トムのライ王の像もしかり(本物はプノペンの国立博物館だそう)。
そこで、もしかしたらアンコール国立博物館に行けば、探し求めているあのジャヤヴァルマン7世の像があるかもしれない、と思ったわけです。

アンコール国立博物館
ドライバーも博物館は初めてのようで、博物館の写真を撮ったり中までついてきます。博物館ではクレジットカードも使え、オーディオガイドも常備。2007年に建てられたばかりできれい。
展示されているのは、アンコール遺跡から最も美しい形で出土した、貴重な数々。博物館は広大で、詳細な説明文やオーディオガイドはどれも素晴らしく、美しくライトアップされて見応えがあります。
そして、、、!
念願のジャヤヴァルマン7世の微笑み像を発見!!!
頭部のみで、人間の頭部より3回りくらい大きく、すらりとした鼻と美しい微笑みをたたえて、展示されていました!!!
が、その横には、写真撮影禁止のサイン。そうなのです、館内は写真撮影禁止。見張りの職員もいたるところに配置され巡回されています。
ので、その証拠品はありません。シクシクシクシクシクシク。
出会ったら写真撮りまくるんダ、、、
と決心していたのですが、セレブのガードは厳しいようですね。
どんなにハンサムな像か再掲します↓(くわしくは天空の楽園アンコール・ワットへ①へ)

筆者によって「ジャヤヴァルマン7世の微笑み」と呼ばれている像。長年保管し続けたクリアファイルより。
ちなみにこの頭部は、ジャヤヴァルマン7世ではなかったようです。展示サインも別のこと(Buddhaだったような)が書かれてあったように思います。確かなことがお判りの方がいらっしゃいましたら、ぜひご教授賜りたく <(_ _)>。でもジャヤヴァルマン7世は仏陀になろうとした人だから、心のなかでは今でも、ジャヤヴァルマン7世の像だと信じています。
再会にひとしきり感動して、他の展示は駆け足になってしまいました。また来よう。
ミュージアム・ショップも素敵でお勧めです。いい香りのオイルやかわいい小物があって、お土産はここで買いました。
しかし!
はがきや絵や写真から織物まで、ショップにある画像という画像は全てチェックしたのですが、あのジャヤヴァルマン7世頭部を題材にした土産物は一つもありません!!
ドライバー氏も一緒になって探してくれて、似たような像の写真のハガキなどを持ってきてくれるのですが、どれも違う!なぜ??私なら、ショップ中、この頭部の写真で埋め尽くすでしょうに、疑問でなりません。
(この時は、クリアファイルの写真がなかったので、残念ながら、どんな像なのかなかなか伝わらなかったのです。次は写真を持参します。)
そんなこんなで、時間があればOld Marketも散策にいくつもりだったのですが、もちろんなくなってしまいました。仕方ありません。
おわりに
アンコール・ワットとアンコール・トム、その周辺の遺跡も全て、想像を超えた圧倒的な迫力がありました。どの一つをとっても独創的で違った特徴や役割があり、中に立っていると、時間と空間を超えた異世界感が突風のように迫って来ます。この感動は、実際に空気に触れ、中を歩いてみなければわかりません。
けれど、一点、深く心に呼び起こされたことがあります。それは、あのジャヤヴァルマン7世の微笑みの像ほど秀逸な像が、この地にも存在しないということ。アンコールの地には、微笑みをたたえた像やレリーフが数多くありますが、どれもあの微笑みに勝るものではありませんでした。
どうしたことかと困惑したのですが、3日目に、寺院で下の絵に出会うことができました。寺院で座り込んで絵を描いていた現地アーティストから、買ったものです。
まさに、求めていたクメールの微笑みのエッセンス。常に我が家の壁を飾っています。
さて、今回は仕事にはさまれてわずか3日間の旅で、アンコール・ワット近辺しか廻ることができませんでした。少し郊外に遠出をすれば、さらにまだ見ぬ遺跡の数々が残されています。
また近いうちにもう一度訪れたいな。次はガイドと一緒にまわろうと思います。
おしまい。