天空の楽園アンコール・ワットへ②から続きです。
2日目は、午前中はホテルの自転車を借りて、昨日周れなかったアンコール・トム内の遺跡を観てまわり、午後からは、ドライバーにアンコール・トム周辺の遺跡へ連れて行ってもらう予定です。
2日目:ジャングルに埋もれたアンコール遺跡巡礼
午前8時出発。外はすでに灼熱の太陽。
昨晩予約しておいた自転車(ホテルのマウンテンバイク1日5ドル)を出して、アンコール・トムへ向かいました。
道はホテル沿いのSivatha通りと、アンコール・ワットへと行くアンコールワット通りとどちらがいいかとコンセルジュに聞いたところ、アンコールワット通りだとのこと。
ホテルの自転車は、オイルが切れぎみ。タイヤも空気があまり入っていないらしく、ロードバイクに慣れた身には重たい。
街中は、マスクが必要に思われるほど土ほこりが舞っています。しかし、北上するにつれて木々に囲まれた空気のきれいな田舎道になります。

南側から望む朝のアンコール・ワット
緑も濃くて、木陰の涼しさの中を走るので、予想していたよりもなかなか気持ちいいサイクリング。
けっこうがっつりとギコギコこいで、9時ごろようやくアンコール・トムに到着しました。ホテルに戻ることを考えると、観光は1時間ほどしかさけません。
まず、昨日のがした、ライ王のテラスの奥にあるプリア・パリライへ。
ジャヤヴァルマン7世の寺院に様式は似ているとのことだが、創建者はよくわかっていないとのこと。ジャングルの中の道をかいくぐって進むと見えて来ます。
遺跡から木が生えて、ラピュタに来たような気分。

まだ整備が進んでいないプリア・パリライ
次に、アンコール・トムの東側を探索しました。ここらへんは修復工事も行われていないようで、崩れ落ちた石レンガがごろごろと無造作に転がされたままで、ジャングルの中に佇む遺跡の廃墟感がにじみ出ていてます。
味があってステキ。

プリア・ピドゥ
ぬかるみになっているところもあり、自転車は押して歩きます。きっと雨季には大変でしょう。
一番北にあるプリア・ピトゥを経て、謎めいた12の塔が一列に並ぶプラサット・スゥル・プラットへ。
ジャヤヴァルマン7世が、人を広場に集めて綱渡りの芸を見せたといわれる塔の群です。

「綱渡りの塔」と呼ばれるプラサット・スゥル・プラット
勝利の門への道をはさんで北側と南側に対称的に佇む遺跡、クリアン。これはジャヤヴァルマン7世以前に建設されたもので、用途は謎とのこと。
そして東門である勝利の門へ、1キロメートル自転車を走らせました。勝利の門には象の姿が他の門よりも綺麗に残っています。

緑深い木々の中に佇む勝利の門
ここまできて10時になってしまったので、往きと同じ道をたどってホテルに向かいました。
が、なんと迷子に、、、。
気分良くペダルをこぎすぎたのか、気がついたらずいぶん街中に出てしまっていました。
携帯の海外パケットをオンにしてグーグルマップで確認したり、学校の制服姿のカンボジア少年をつかまえて(英語で)道を尋ねたりして、ホウボウのていでホテルに帰り着いたのは11:30過ぎ。
12時から車を予約していたのですが、間に合いそうにないので1時間うしろにずらしてもらい、シャワーを浴びてホテルのカフェでランチ休憩。
カンボジアのスープとジュース。特製のSokha Delightというスイカのジュースが美味しくて、熱中症ぎみの頭痛もきれいに取り払ってくれます。
午後:セレブも訪れたタ・プロームと周辺の遺跡群
午後は、ジャヤヴァルマン7世が建設した寺院に丸をつけて、そこから廻る予定。13時にロビーに降りると、昨日と同じドライバーが待っていました。
昨晩コンセルジュで予約した際に、「同じドライバーで?」と聞かれ、「どちらでも。時間が不規則なので空いていれば」と答えると、すでにドライバーからは依頼があったらしく即決。
ドライバーは英語は片言だけど、ガイドではないので案内する必要のないことまでよく気がついて、コミュニケーションをとってくれます。サービス精神がグッド。ドライバーとの信頼関係も重要ですね。
タ・プローム遺跡に向かう途中で、ドライバーは遠回りして劇場の前を通過し、劇場の看板を指差します。そして、ジャヤヴァルマン7世の話だ、と「Smile of Angkor(アンコールの微笑み)」というショーのパンフレットを手渡してくれました。

ドライバーが勧めてくれた劇「Smile of Angkor 」
ドライバー氏よ、、、、昨日、ジャヤヴァルマン7世の素敵な微笑みについて、私がえいえんと語っていたのを、聞いていてくれたのね。粋じゃないか。
演劇は、ブッフェのディナーつき48ドル。終わった後は車予約の時間オーバーになるけれど、ドライバーがホテルまで送ってくれるとのこと。
現地の劇は、できれば鑑賞したいと思っていたので、少し高いけど予約してもらうことにしました。

ジャヤヴァルマン7世が母親のために建てたタ・プローム。
タ・プロームに到着すると、ドライバーが、「アンジェリーナ・ジョリーもここに来た」とぼそりとつぶやきます。「運転したのか」と聞くと、照れたように、「そうだ」と答える。まじですか、それはスゴイ。(質問を本当に理解していたかどうかは不明。)
遺跡の外で、地元の人が、ビニールに入った新品で綺麗な遺跡についての洋書を売っていました。定価27ドルの本を半額でいいというのだけど、遺跡の中に入ると小さな子供が1ドルで同じ本を売っていました、、、。
妄想すると、ハリウッドのセレブが地元の人に大量に本を贈り、地元の人がそれを観光客に売って生活している・・・とかどうですか?
ともかく、子供たちはものすごく執拗で振り払うのに相当がんばって歩かなければなりませんでした。
タ・プロームのスポアンという木が遺跡にからまる様子は必見です。根が石と石の間を突き進んで、もはや遺跡と一体化しています。

タ・プローム。まるで木が寺院に登っているよう。
バンテアイ・クディとその横にあるジャヤヴァルマン7世と王妃のスイミングプール、スラ・スランへ。ドライバーには東口でおろしてもらい、西口でピックアップしてもらう計画です。

バンテアイ・クディの通路。一直線に結ばれている。
スラ・スランは池というよりは湖。対岸は700メートル先で、周囲にトレイルもあるようだけど、大きすぎて周れる気がしません。暑いしすぐに車へ戻りました。

ジャヤヴァルマン7世のスイミング・プール、スラ・スラン。広大すぎやしませんか。
その後、プリア・カンに行きたかったのですが、ドライバーがそれでは4時にプノン・バケンに着けないので、チャウ・サイ・テボーダの辺りになさい、と言います。
チャウ・サイ・テボーダはスールヤヴァルマン2世建立で、アンコール・トムのバプーオンの縮小版のような姿をしています。

チャウ・サイ・テボーダに残る美しいデバダー
そのすぐ近くのタ・ケウは、ジャヤヴァルマン5世が創建者で、王の急死で未完成のままだったよう。険しい階段で広大です。建物が完成していなかったため彫刻はほとんどありません。猛暑の中、根性で上まで昇りましたとも。

未完成のケ・タウ
散策を終えるとすでに4時を回っており、プノン・バケンに直行しました。ドライバーがあせっています。その理由は到着してからわかりました。アンコールワットの夕日姿を見るため観光客が押し寄せるため、300名の入場制限がかけられているのです。
ドライバーの機転で、無事入場することができました。山道は長く、プチトレッキング気分。やっと上り詰めると、確かに山頂の遺跡から1キロメートルかなたに、アンコール・ワットの美しい姿が浮かび上がっていました。

プノン・バケン寺院から眺めるアンコール・ワット。美しいシルエットが遠方に浮かび上がる。
夕日は6時半からなので、それまで皆一様に場所取りをして待機します。
が、1時間ほど場所取りをした後、青空が姿を消し、雷雲が西と東から押し寄せてきて、寺は閉められてしまいました。そういえばドライバーが、今日は夕日が見れないかも、とか言ってました。
残念ですが、実は6時半まで待って下りると、7:15開演の劇にはギリギリ。ブッフェが楽しめなくなります。なので実はちょうどよかったのです。
駆け下りて車に飛び乗ると、チケット・オフィスで引換券をもらって、劇場に直行しました。
劇場はホテルから6号線を東に行ったところにあります。川辺に家族や恋人たちがピクニックをしています。毎晩のことだそう。
劇場のブッフェは、かなり大きなブッフェで、日本料理も含めて世界各国の料理が並んでいました。味は、、、昨日のお昼の方が美味しかったかな、、、。
演劇もやや微妙で、質はいまいちです。

演劇「クメールの微笑み」
英語や中国語、韓国語の字幕があって明らかに観光客向けなんですが、CGも安っぽくてストーリーもごちゃまぜ。踊り子の踊りが偽て見えてきてしまいます。コスチュームや舞台セットが「国際的水準」というのが売りみたいだけど、お金のかかった文化祭みたいな感じ。クメールの微笑みも、描写がこれではスマイリーみたいじゃないですか。
いずれにしても、48ドルはちょっと高い。これなら、10〜30ドルくらいの劇付きのレストランに行った方が、本物さがあっていいかもしれません。
と、旅人としてはややクリティカルになってしまう私ですが、精神のピュアさというか、そういうものに触れた気がして、帰りの車の中で笑みが止まりませんでした。
これがクメールの微笑みのパワーか?ナンテ
さて、最終日は、いよいよ探し求めたジャヤヴァルマン7世の微笑みに出会いました!
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