鹿児島県から60キロの南西に位置する一周100キロメートルの小さな世界遺産の島、屋久島。
なんとなく大阪からフェリーと高速船を乗り継いで、屋久島まで輪行してきました。
この小さな島に、標高0メートルの海辺から1900メートルの山までコンパクトにつまっています。
そのため、ナント南国から北海道までの気候をひと島で体験できるのです!
面積は500平方キロメートルで、東京都の4分の1。
いつ | 2016年1月中旬 |
どこ | 屋久島 |
旅程 | (1日目) 鹿児島発(7:00) ー 屋久島宮之浦港到着(10:00) ー 永田いなか浜通過(12:00) ー 粟生通過(14:15) ー 尾之間通過(15:45) ー 安房到着(宿泊) (2日目)安房出発(6:10ごろ) ー 白谷雲水峡 |
装備 | ロードバイク |
屋久島の海辺の道路を一周快走する、ソロサイクリングツアー。
いえ、実を言うと4分の3周です。
なぜかというと、高速船は島の北にある宮之浦港に到着、宿と出港は東端の安房からだからです。
(九州周遊のための荷物を積んで走るので、一周する自信がナカッタのもあります。)
距離 | 77.7km |
最大標高差 | 288m |
平均斜度 | 全体:0% 上り:4.4% 下り:4.2% |
獲得標高 | 上り:1208m 下り:1212m |
想定所要時間 | 車:1時間56分 自転車:5時間10分 徒歩:15時間32分 |

宮之浦港
高速船で宮之浦港に到着したのは午前10時ごろ。
自転車を組み立てて、近くの資料館で情報収集です。
受付のおばちゃんに、今から自転車で一周(4分の3周)することを伝えると、「けっこう大変だよ〜」と。
激励ととっておこう。
ゴール地点が宿泊地なので、荷物をつんで正味1208メートルの上りです。
風向きは、前半が向かい風、後半から追い風になる計算。
エネルギー補給などして、出発したのは11時に近くなってから。
出発したときは曇っていた空も、次第に晴れていきます。

海水がエメラルド!永田前浜
永田いなか浜を12時ごろに通過。このあたりから、上り坂になっては下り、また上り坂、というけっこう消耗型の道に。
そして、世界遺産に指定されている西部林道に突入すると、いよいよ急登になります。
はずかしながら、自転車をおりて押しましたハイ。
林道は道が細いので、バスが通れません。途中リタイアしてバスに乗車するにしても、林道は抜ける必要があります。(←すでに逃げ腰)

西部林道にて。ベイビー屋久鹿が思わせぶりに前を歩いたり振り返ったりします。もう少し先で家族と合流して姿を消しました。
小さくて細い屋久鹿を、けっこうたくさん見かけました。ちっとも警戒心がない。
というか、ひとこぎひとこぎせっせとペダルを踏んでいる私の進捗ののろさをからかうように、周りで飛んだり跳ねたり、ちょっかい出してきます。
屋久鹿は、鹿の中でも小さくて細くて軽快でかわいい。鹿の跳ね方って、まるで空中に静止しているみたいで不思議ですね。

緑にかこまれた林道
登り切れば、あとは200メートル以上一気にくだります。下りは気持ちいい!
林道を切り抜けたのは13:45ごろ。少し安心して、休憩することに。

美味しい空気と気持ちよい海風。
林道を抜けると、あとはひたすら数十メートル上って下るという繰り返しです。下りは相当気持ちいいけれど、また上るのかと思うと・・・。
1月ということもあり日も短く、安房には日没前に到着したかったので、途中寄り道はしませんでした。
そうでなければ、温泉につかったり、千尋の滝や亀を見に行ったり、寄り道スポットはたくさんあったのですが。

新粟生橋から
ラストスパートは結構消耗して、17時きっかりにゴールイン。
コースタイム6時間。うーん。
安房は、シーズンでないせいかレストランも閉まっているところが多く、しかもコンビニがなくてお金が引き出せないという事態に。(翌日郵便局を教えてもらって現金を引き出せました)
唯一カードを受け付けているおみやげ屋さんでカップ麺を入手してしのぎました。
せっかく屋久島くんだりまで行ったのに、それらしきものを食べられなかったのは残念。
白谷雲水峡にしてやられた
屋久島というと、1936メートルの宮之浦岳、そして縄文杉。
けれど、今回はサイクリングが目的だったので、登山装備がありませんでした。
靴も普通のスニーカー。
そういうわけで、2日目は「登山ではなくただのトレッキング」ルートとよばれる白谷雲水峡に行くことに。(いえ、りっぱな登山道でしたよ。)
朝7時に出て、お弁当やで昨日予約しておいた(おみやげ屋さんのおばちゃんが親切な人で、残金の少ない中やりくりをいろいろ相談にのってくれたw)登山弁当を受け取り、バスに乗って8:45到着。
昨日は快晴だったのに、雲行きがあやしくなってきました。
受付のおじさんが、降水確率が90%で、特に午後からはげしい雨になるから、朝のうちに川を多く渡る奉行杉ルートを行くとよいと教えてくれました。

ジブリの森の世界
さくさくと登り始めたけれど、開始して1、2時間で雨が降り出したかと思うと、急速に雨量を増し、最終的には土砂降りになってしまいました。
登山の難度が上がるわけではないし、景観も雨に濡れて美しいのだけど、スニーカーが浸水・・・。
川のせせらぎや岩の表面を覆うコケ、濃厚な緑の世界としめった地面、森のにおい全てには感嘆。しつつも・・・さすがに断念せざるをえなく、無念にも太鼓岩への道を引き返すことに。
下りの登山道は川のように水が流れたまっていて、石上を飛んで進むけれど、もはやスニーカーへの浸水は止められない。
しかも、なんとポンチョ(市販の安物)に穴が空いているらしく、上半身が下着まで水浸しになってしまいました。
下りながら、
屋久島の雨はただの雨じゃない
という知り合いの言葉を思い出していました。

くぐり杉
入り口にようやく戻ってくると、雨はしのげるのだけど、まだ1月の寒い季節。次のバスまで1時間以上。
ずぶ濡れ姿でみじめに思った受付のおじさんが、待合室に火をおこしてくれました。有り難や。
10分もすると、私と同様に不完全装備の3人連れ外人さんも加わって、それなりに楽しくなりました。
いやはや、トレッキングパンツを履いていた下半身だけ無事。モンベルの撥水の威力を思い知った日。
次はちゃんとした登山靴とジャケットで行こう。
いや、次こそ縄文杉を見て宮之浦に登るのだ、とリベンジを誓った旅となりました。
おまけ
翌朝7時の便で、鹿児島行きの高速船トッピー&ロケットに乗船しました。
なんと、悪天候のため引き返す可能性もあるとの条件付き乗船。
その日の後の便は全便キャンセルで、海上の天候を調べてみると、なんと数日間は悪化の一方。
どうやらこれを逃すと、屋久島から出られるのは1週間先という可能性も?となどと考えながら乗船。
海上に出ると、想像以上の大荒れです。何メートルもの海面の壁が真横にそそり立っては、次の瞬間にははるか谷の底へと変わります。
定期的に、窓に波がはげしく打ち付け、何か巨大なものをふんだようなズドンという振動が下から突き抜けます。
けっこうスリル満点。
幸い種子島に着くころにはややおとなしくなり、湾入りした頃には天気予報が晴れ、とのこと。
いやはや。