こんにちは、やまびとです。
今回はみずからの失敗から学んだ、登山靴の矯正方法についてお話ししたいと思います。
まずはじめに、おことわり。
ここで紹介するのは、あくまでやまびと個人が試して効果のあった方法です。
人によって処方は異なるのが靴というもの。
この記事は、
これから初心者用の登山靴を買おうと思っている、または、 買った登山靴、高価だったけどこの靴のせいで足の故障ばかり。返品もできないしもう捨てるしかない・・・
とお悩みの方に読んでいただけたら、もしかしたら、一つでも参考になることがあるかもしれない、という思いで書いています。
登山靴を買う前に本当に必要か考えよう
「合わない登山靴を買ってしまうと悲惨です」
というのは、もうみなさんよくお聞きになっていらっしゃるかもしれません。
本当に悲惨です。
そもそも足の形が標準的でない私にとって、靴とは買ってから履き慣らすものでした。
今まで履いていた登山靴だって、強引に履き慣らしてきて問題なかったのです。
しかし、それは柔らかい登山靴だったから可能だったこと、最近になって思い知らされました。
過ちは、登山用品店やサイトでよく見聞きしたセリフ↓ではじまりました。
重たいザックを背負って歩く場合、初心者はその重さを膝で支えることができない。したがって、ハイカットで靴底が硬いしっかりした作りの登山靴を買い、膝ではなく足首で重さを支えるようにすること。
という言葉を、デイバッグ以上の重さを背負って登ったことのなかった私は、真に受けてしまいました。
そして買ってしまった、靴底が相当硬いハイカット。
さあ、3泊4日のインカトレイル・トレッキングに向けて慣らすぞ!と日本の山々を登り始めました。
3ヶ月ほど、頑張って履きならそうと努力したと思います。
その結果は、以下の図の通り。 これらは、痛くて途中で(靴を買い換えるなど)諦めるしかなかった障害の代表的なもので、この他にも両足両側の足指付け根の腫れや足首の打ち身など、治るとはいえ、今まで靴をはいて患ったことのない障害も多数。
上記のうち、街を歩くだけでリタイアせざるをえなくなったものもあります。ハイヒールで登山に行った方がましだと本気で思いました。
結局、目的のインカトレイルでは、現地に向かう空港ですでに内反小趾がひどくなって履けなくなり、ノースフェイスの靴底が柔らかいミドルカットの登山靴を購入してのぞみました。
購入を迷っている方は、決める前に本当にその登山靴は必要か、を考えてみてください。
特に私のように足の形がやや平均的でない人は。
以下は起こりうる障害です。
- 底がかたい・ハイカット
特に急登で非常に登りづらくなります。地面に直角に立てようとすると足首を曲げるしかありませんが、足首が固定されていて曲がりません。靴底が使えないので靴先か淵で蹴るしかなくなります。靴紐をゆるめても大した自由度は得られません。
また石の登山道を下る時などは、靴底が曲がってくれないため、着地の角度によって膝が左右に大きく振られ、脚の疲労とともに膝の障害にもつながります。 - 重たい
コースタイムが少なくとも3割は増えてしまいました。特に靴のハイカット部分に膝を内側に押され続けたため腸頸靭帯炎になり、靴をひきずらざるをえなかった時がありましたが、その際、靴の重さで足裏の筋が引き伸ばされて、二重の苦痛でした。 - 硬い
あまりにも硬い。痛みを我慢して履いていればいずれ靴が負けるはず、と履いては故障し、治っては登り、と執拗にがんばりましたが、根性ではどうにもなりません。特に靴の淵にはられているテープの形状は、ちょっとやそっとの力では変形しないように作られています。どんな衝撃でも、靴は無事、かえって足をやられてしまうでしょう。
私が買った登山靴は3シーズン用で、冬用ではありません。ただ「ザックの重さに膝や足首が耐えられるようにするため」という目的だけでこれだけ強固で重たく作られているのです。
そして、履いた結果、余計に膝や足首を痛めることに。
こんな頑強な登山靴でないと本当に膝を痛めてしまうのか?というと、そんなことはありません。
実際、柔らかいミドルカットの軽い靴で、4日分の荷を背負い石段を飛んで駆け下りたりしましたが、全く問題ありませんでした。
小さい時から遠足などで登山などに親しみ平均的な脚力のある人であれば、本当にそこまで強固な登山靴が必要か、よく考えてみてください。
それでも履き続ける理由
さて、そんな障害だらけの靴は破棄してしまうべき、と思われるかもしれません。まさにおっしゃる通りです。
しかし、懲りずに履き続けています。それは、
- 高い買い物だった
- 直すためにさらに高い買い物をした(←スデニ悪循環)
- 冬靴は底が硬く重たいもの
だから。おもに3つ目の理由です。あとは意地です。
冬山に登るために必要な10刃以上のアイゼンが取り付けられる冬靴は、重たく底も硬く作られています。
いくつかお店で試し履きしてみましたが、どれも
山を登れば同じ問題に合いそう
とも思われる履き心地。
実際に登ってみなければわかりませんが、次に高い買い物をする前に、手元にある失敗作で実験して原因と処置方法を探りたいものです。
故障の原因を知ろう
上記では私が経験した故障の例を書きましたが、これは歩き方や脚・足の形によるもので、おそらく大抵の人は問題がないか、あっても別の問題ではないかと思います。
靴のつくりが問題であれば、両足同じように問題が起きるはずですが、実際、経験した大きな故障は、右足だけなるものと左足だけなるものです。
靴を自分にあったようにカスタマイズするには、故障の原因を知る必要があります。
例えば、私の故障の原因は、以下の通りです。
- 足はばが広い
昔から1〜2サイズ大きな靴をはいていて、特に地面を蹴る時に脚の幅が広がるようです。利き足が特に大きく、登山靴のように足幅が固定されていると踏み込めず、親指と小指の付け根にある骨があたってしまいます。日本人は足幅が広いらしく、モンベルさんは日本人の足の形に合わせていると聞いていたのですが・・・どうやら私には合わなかったようです。 - O脚
O脚の人は腸頸靭帯炎になり膝を痛めやすいそうです。私の場合は脚全体ではなく、膝は正常、ただ膝下がOの形をしていて、足首の付け根の部分で外側に向かって湾曲しています。そのため、足首を固定してしまうと、着地の際に内膝になってしまい、そこから膝を伸ばしたり曲げたりして体重を移動させる際に、膝がねじられてしまいます。「山は駆け上がって駆け下りるもの」だった私が、人生で初めて膝を痛めることになりました。
また、この特殊な脚の形状のため、足首に突起している骨の角度もやや違いがあるらしく、かかと部のサポートか靴紐固定金具に突き上げられることになり、相当な痛みを経験しました。靴紐を締めれば骨を突き上げられ、緩めればつま先を故障してしまいます。
つまり、靴の内部を整形しなければ、問題は解決できません。似たような症状の人は、ぜひ以下に述べる方法を試してみてください。
解決策① ワインボトルでかかと部分を広げる
登山用品屋さんに伺った方法で、これは効果てきめんでした。
とにかく靴を広げて、隙間は厚い靴下でうめる、という戦略。 ワインボトルをかかと部分まで押し込み、靴紐でしっかり結んで一晩おきます。
これで内側の骨に当たっていた部分が大分ましになりました。
さらに、ワインボトルの外側にハンドクリームのチューブ容器を入れて、足首外側部分を広げるように整形。
膝への負担も少なくなったようです。
ただし、一度広げてしまうともう元に戻らない、ということを覚悟の上でやってください。
つまり、せっかく足にフィットしていた部分も広げてしまい、靴ずれなどの原因になることもあります。
最終手段としてご参考ください。
解決策② シューズストレッチャーを活用する
ワインボトルを使う前に、シューズストレッチャーでまず試してみるのも手です。
私はワインボトルで広げた後に、特に足首の骨があたる部分にシューズフィッターのダボが当たるように垂直に取り付け、引き伸ばしました。
シューズストレッチャーの通常の使用方法ではありませんが、なかなか効きます。
また、靴幅を広げるためにも使用しました。これもやや効果があったと思います。
一つ購入しておくと、他の靴でも使えます。タウン用の靴はよく広がりましたよ。
解決策③ インソールで着地の角度と位置を変える
靴の悩み相談に行ったら、購入を勧められたものです。
スーパーフィートのかかと部分に厚みがあるため、足首の骨の位置も高くなります。
これまで当たっていた靴紐の金具が当たらなくなる、という計算です。
私「本当にうまくいくんですかね?」
店員さん「わかりません」
というわけで購入。
さらに出費がかさんで三重苦ではありますが、ここまでくると意地です。別の靴で使ってもいいし。
試してみると、確かにあたらなくなったようです。
しかし、問題がありました。このインソールはかかとの部分のみならず、足先のほうにも厚みがあります。つまり、足先も上に押し上げられ、足幅がさらに窮屈になるのです。
これで利き足は内反小趾になって歩けなくなりました。
どうにか解決するために、インソールの裏をナイフで削りました。小指側が低くなるように削った結果、足先にスペースができて、どうやら着地の角度も修正できた様子。
まだ最適化できていませんが、すこしず削って修正しています。
以上、いかがでしょうか。
いまだこの登山靴で故障なしに帰ってきたことはありませんが、だんだん馴染んではきていると思います(慣れてきただけ?)。
なにごとも実験あるのみ!
この他にも靴の問題や解決策などお持ちの方はぜひお聞かせください〜
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